ギア・ドール


「くっ!」


 海人は皐月のバーニアを全開に空けて、何とかこらえる。


 ここで、安心するわけには行かない。


 まだ、あの化け物には左腕と両足、それに自在に動く巨大な剣がある。


 たった6メートルのギアを壊すには十分すぎる獲物だ。


 張り巡らされていた煙幕が晴れる。


 電磁波の影響も既にない。


 再度宙に浮かぶ、巨大な剣。


 右腕をなくしたからといって、形成が逆転したりはしない。


 いや・・・そもそも形成など逆転しようがない。


 力の差は圧倒的なのだ。


 皐月の残る武器は二発の手榴弾とマシンガン。


 ・・・十分だ。


 海人は、うっすらと自嘲的な笑いを浮かべると、一度はなれた弁財天との距離を詰める。


 しかし手榴弾を警戒してか、先に剣が立ちはだかる。


 それを待っていた!!


 矛先を皐月に向けて飛んでくる巨大な剣。


 海人はそれを紙一重で避け、左手で柄をつかむ。


 一瞬の勝負。


 マニュアル稼動だからこそ可能な皐月の動き。