ギア・ドール


「そうなの?それじゃあ・・・もしかして・・・」


 逃げる算段があるとか?


 期待にこめた私の瞳は、黙って首を横に振る二人によって打ち砕かれた。


「それが見つからなかったら、今までキラには黙っていたんだよ。」


 そうか・・・。


 こんな話を私が聞けば冷静さをなくしてしまうことぐらい、二人にはとっくに気がついていたんだ・・・。


 こう見えて、二人とも大人なんだな・・・。


 年齢は私と一緒なのに・・・。


「でも、こうなっては仕方ないか・・・。正直、残り1年ぐらいは安泰だと思っていたが、良く考えたら、明後日でキラも18歳・・・。そうなったら、いつ決行されてもおかしくないな・・・。」


 あ、そういえば明後日は私の18歳の誕生日だっけ?


 でも、こんな状況じゃ・・・そんなこと関係ない・・・。


「それまでに、脱出の糸口が見つかればいいんだけどな・・・。」


 鈴蘭の深刻そうな声。


 孤児院からの脱出なんて、一見簡単そうに見えるが、実は相当難しい。


 外で見張っている看守はもちろん。孤児院の周りには上空800メートルから、地下300メートルにまで及ぶほどの、センサーが張り巡らされており、ちょっとでも触れると館内中にブザーがなる仕組みになっている。


 軍事施設並みの侵入者防止装置だとは思っていたが、こういう裏があったのなら納得できる。