二人の男女に見送られて、記憶を亡くした浮浪者が旅立つ。
三つ目の扉を開き、薄暗い階段を下がり、向かう場所は格納庫。
そこには、主の搭乗を待ちわびる黄土色の巨人が待っていた。
何も語らず、何も聞かず、何者にも惑わされない黄土色の巨人。
その名を「皐月」という・・・。
寸胴な身体には全身に弾丸がまとわりつき、背中には巨大な鎖鎌が装備されている。
自分のボディの半分はあろうかという巨大なマシンガンは、威嚇用、作業用などではなく、完全な戦闘用。
腰には全部で6つの手榴弾が巻きつけられてあり、それを押さえつけるように、備えられている二丁のバズーカー砲は皐月のスペックの中では最大級の威力を誇るものだ。
そして、それらをすべて扱えるように装備された巨大なバックパック。
皐月戦闘装備型。
二度と見ることはないと思った。
二度と見たくないと思った・・・。
だけど・・・・・・。
「しゃあないか・・・。」
誰に言うでもなく、海人はつぶやくと皐月のコックピットをあけて乗り込む。
鍵を差込みエンジン起動。
各種システムが一気に起動して皐月の目が光った。
皐月起動。バーニア全開
シャッターを開けると、轟音を響かせ皐月ははるか上空へ飛び立って行った・・・。


