ギア・ドール


「ぬかせ・・・。お前のような人間がその程度で、ここまで来るかよ。」


 さすが、ジン爺さん。


「よく、お見通しで・・・。」


 海人は、ポケットからタバコを取り出し口に加えて火をつける。


 紫煙が二人の間でまっすぐ上にのびていく・・・。


「どうせ、お前がここに来る理由なんて、おおかた、弁財天のことだろう?」


 先に、話題をふったのはジン爺さん。


 本当に、よくお見通しなことで・・・。


「まあな・・・」


 海人は短い返事を返すと、わざとジン爺さんから目線を外す。


「白い機体・・・弁財天の弱点を教えほしいんや・・・。」


「この俺に、軍の命令に背け・・・ってか?」


 冗談を言うな・・・と言いたいのだろう。


「ああ。」


 だが海人は最初から冗談を言っているつもりはない。


「・・・・・・・・・。」


 それを聞いてジン爺さんは、呆れたような顔を浮かべてバーボンに口をつけると。


「ぬかせ。これでも虎神軍隊、曹長の肩書きを持つジン様だぞ。てめぇみたいな危険分子に情報を教えるような、国を裏切るようなまね、死んでもできるか?」


 一気に怒鳴り散らす。


 予想通りの答え。