ギア・ドール


「・・・生きていたのか?」


 あくまで目線は、パソコンに向いたまま老人が口を開く。


 そこに驚いた様子はない。


 階段の監視カメラの存在には気が付いていた。


 ここに来た瞬間から、老人には自分の姿が見えていたのだろう。


「おかげさまでな・・・。」


 向かい側の席に座りながら海人は口元に笑みを浮かべる。


 なぜか、そこには空のグラスが置いてある。


 お前も、飲め・・・ということなのだろう。


 断る理由はどこにもない。


 海人は、遠慮なくグラスにバーボンを注ぐと、一気に飲み干す。


「エリアスが俺を売ったのか?」


 さすが軍人、いい勘を持っている。


「それを、知ってどうする気や?」


「それも、そうだな・・・。」


 そこまで口にして、ようやくジン爺さんは、パソコンを閉じて、海人に目線を向けた。


 鋭い眼光。


 座っているのかかわず、隙のない構え。


 これが、本当にあのジン爺さんなのだろうか。


「それで、何のようだ?・・・俺を殺しにでも来たか?」


 ジン爺さんの提案。


「それも、悪くないな・・・。」


 本気で思った。