ギア・ドール


「まさか?・・・私も同じコトを思ったから、海人に全てを託したんだ・・・。今のスラムを救える唯一の可能性を秘めてるヤツだからな・・・。」


「・・・命を落としてでもですか?」


「人間、黙っていても勝手に死ぬんだ・・・。これぐらい、やってやるさ。」


 自嘲気味にエリアスは口元に笑みを浮かべると、ポケットから袋を取り出し、キラに投げ渡す。


「これは・・・?」


「処方箋だ。しばらく、痛みが続くだろうからな・・・。あまりに酷いようなら、飲んでおけ。」


 医者としての最後の仕事。


 そして、おそらくはエリアスの人生の中でも・・・・。


「ありがとうございます。」


「礼には及ばん・・・。医者として当然の仕事だ。」


 それだけ口にすると、エリアスは立ち去って行った。


 自らの死に場所を選ぶために・・・・・・・。


 その全てを、一人のならず者に託したコトを誇りにして・・・・・・・・・・・・・・・・・・。