ギア・ドール


「・・・何がですか?」


 意味が分からなくて、思わず聞き返してしまう。


「つまり、軍を持たないスラムでは、あの機体に対して有効な手立てを持たない。私たちが手助けをしない・・・つまりは、『監視を続ける』以上は、弁財天は何者にも破壊される心配はないのさ・・・。」


 つまりは・・・。


「それって・・・。」


「軍は、スラムの人間は何人死んでもかまわないから、莫大な予算と技術を投入した弁財天の捕獲を優先したらしい・・・。」


「・・・・・・・・・・・。」


 返す言葉がなかった。


 そんなコトが、起こるなんて・・・。


 私たちは・・・スラムにいる人間だって、意志を持って、毎日生きているというのに・・・。


 ただ、暴れ回るだけの高価な木偶人形を優先するなんて・・・。


「まぁ、当然の判断といえば、当然の判断だ。スラムなんて、国籍を捨てて徴兵も納税の義務も果たさず、戦争から逃げているような人間が集まっている場所だ。国や軍が守る義務なんてどこにもないからな・・・。」


「だからって・・・・・・。」


 キラが言いかけて・・・。


「『だからって、死んでもかまわない。とは、限らない』・・・そんなものは、ただの理想だ。」


 そんな言い方・・・。


「悪いですか?」


 思わず、声に出た。