ギア・ドール

 しばらく、その扉を見送った後・・・。


「さて・・・キラ、すまないが外に車を用意させるから、あいつの家には一人で行ってくれないか?」


 唐突にエリアスは口を開く。


「え?・・・どうしてですか?」


「医者が病院を離れるわけには行かない・・・と、言いたいところだがな・・・。私も、見張られている身でな・・・。」


「え?」


「反逆罪は、その場で射殺が鉄則だ・・・。」


 つまり、海人にジンの情報を渡した時点で、エリアスは死刑が執行されたということ。


「だったら、何でそんなコトを・・・。」


 尋ねずにはいられなかった。


「馬鹿馬鹿しいからだよ。」


 唐突なエリアスの言い回し。


「は?」


 意味が分からない。


「私が上から受けた命令は、『現状維持、弁財天の監視を続けよ』だった。」


 エリアスは吸いかけのタバコを大きく吸うと。


「・・・これだけの現状を目の当たりにしながら、黙ってみていろ・・・だ。馬鹿らしいと思わないか?」


 紫煙を吐き出しながら口にした。


 その目は、とても身近に死が迫っている女の物とは思えないぐらい、未来を見据えている・・・。