ギア・ドール


「皐月の修理・・・終わったんだろう?」


 皐月?


 海人のギア・ドールの名前だろうか?


 あれ?・・・でも、皐月って名前のギアは、確か・・・・・・・・。


 ダメだ。肝心なところが出てこない・・・。


「・・・・アルクから聞いたんか?」


「さっき、電話したからな・・・。帰ったら、すぐに出撃するんだろう?」


 え?


「まぁ、そうやろうな・・・。」


 そこまで聞いて、キラはようやく理解する。


 自分が海人の家に着いた時点で、海人は、白い機体・・・弁財天に向かって出撃する。


 そしたら、もしかしたら・・・・・・・・・。


「勝算はあるのか?」


「・・・さあな?」


 口にしながら、海人はどこか自虐的に笑う。


 ・・・そんなもの、ある訳ないだろう・・・。


 海人の顔が言っていた・・・。


「だったら・・・」


 エリアスが言いかけて。


「『逃げればいいだろう?』・・・か?」


 海人が答えた。


 おそらく、それはエリアスが言おうとした答え。


 思わず、エリアスの口から笑みがこぼれる。


「・・・・・・・・・少なくとも、私ならそうする。」