ギア・ドール


「え?・・・あ。イヤ・・・これは・・・。」


 恥ずかしくなって、思わず海人を突き飛ばしてしまう。


「いてっ!」


 途端、反動で荷物が床に落ちて、バランスを崩した海人が、ベッドに頭をぶつけてしまった。


 鈍い音が、部屋中に木霊する。


「あ、大丈夫?海人!」


「何をやっているんだ・・・・・・お前たちは・・・。」


 その様子を見ていたエリアスから、心底呆れたようなため息が漏れたのは言うまでもない・・・。


「痛たたた・・・・・・・。それより、何の用や?エリアス」


 頭をさすりながら、海人が無理やり話をずらす。


 うわっ!頭にコブが出来てる!何かで冷やさないと・・・。


「いや、たいしたことではないのだが・・・。海人、本当にこの状況でキラを引き取るのか?・・・と、聞こうと思ってな・・・。」


 病室の隅っこについている、患者共同の冷蔵庫からタオルを一枚取り出すキラ。


 しかし、エリアスのこの発言により、一瞬動きが止まる。


 エリアスの質問の意図がつかめない。


 彼女は海人に何を聞きたいのだろうか?


「・・・どういう意味や?」


 頭を抑えながら、ベッドに腰掛ける海人。


 今、ちょうど自分が聞こうとしていたことだ。