ギア・ドール


 その日の夜。


 私は、彼の言うとおり、鈴蘭の部屋に遊びに行く。


 鈴蘭とケィは幼い頃から、一緒の部屋なのだ。


 六畳のフローリング部屋に、向かい合った勉強机と二段ベッド。


 床には、ゴミは散らばってないし、机の上の整理されている。


 男二人の部屋にしては、とても良く片付いていると思う。


 でも、私がこの部屋に来るたびに、目を配らすのはケィ君の机の上。


 ・・・そこに乗っているのは、灰皿とタバコの吸殻。


「禁煙したんじゃなかったの?」


 確か、一週間前だったはずだが・・・。


「あぁ、辞めた。」


 ポケットから、タバコを取りだし、火をつけるケィ君。


 紫煙の匂いが私の鼻を刺激する。


 諦めるの・・・・早いな・・・。


「まったく・・・見つかっても、知らないからね。」


 そんなこと言いながら、私もこんな夜中に男の部屋に来ていることが見つかったら、処罰は間逃れない・・・。


「まぁ、その時はそん時でしょう?」


 そんなこと言いながら、鈴蘭が持ってきたのは、3本の缶ビール。


 どこから持ってきたか、一切なぞ。