ギア・ドール


「鈴蘭・・・お前もしかして・・・。」


 ケィの深刻そうな言葉。


「悪い・・・。まだ、キラには話していないんだ・・・。」


 何をだ?


「!・・・お前、あれほど自分から話す言うといて・・・。」


「だから、『悪い』って・・・。」


「俺にあやまってどうする!?、もう3ヶ月以上も前から分かってることやないか!」


「だからって、そう簡単に話せることではないだろう!お前、もう少し俺の気持ちも察しろよな!」


「そんなこと言うとるから・・・」


「ねぇ!何の話?」


 取っ組み合いになりそうな二人の間に、私は半分無理やり割ってはいる。


 この二人が喧嘩した場合、どう考えても怪我するのは鈴蘭のほう。


 それだけは、避けたい・・・。


 まったく、世話が焼ける彼氏なことだ・・・。


「ああ・・・キラ、実は・・・。」


 鈴蘭がそこまで口にして・・・。


「まて鈴蘭、ここで話すな。」


 ケィが制した。


 一息ついて・・・。


「・・・キラ、突然ですまないが、今夜、俺たちの部屋に来てくれんか?」


 ケィ君がゆっくり口を開いた。


 確かに、あまりにも突然すぎる。


 しかし、ケィ君がそこまで言うということは、外では誰が聞いているのか分からないから、話せないという意味なのだろう。


「あ・・・うん。分かった・・・。」


 それを読み取った以上は、この場でこれ以上つっこむわけにはいかない。


 私は静かに返事を返すと、私たちはそれぞれのカリキュラムの教室へと向かって行った。