『前にどこかで会ったことありませんか?』 僕は確かに、瑠璃子さんにそう尋ねた。 “瑠璃子です、沢木瑠璃子、ラピスラズリの和名なの” “お店の売り上げに貢献してくれたから、いいですよ” “知ってる、彼女だったら、会計別々にはしないもんね” 海を隔てて遠く離れたこの場所で、 記憶に残る彼女のすべてに、僕は包まれていた。