「でも、気付かなかったから、さようならなの」

そう言う彼女の声が震えていた。

そして彼女は鼻をすすると顔をあげて、
僕に、キスをした。

いつか終わると、終わらせなければと思っていた。
それでも僕は、何度でも瑠璃子さんに会いたかった。

別れを告げるのは、僕だと思っていた。

振られるより、振ることの方が辛いと思っていた僕が、
振られることがこんなにも辛いと感じたのは、初めてだった。

そしてすがりつけない自分の身分と悔しさが、
頭の中で喧嘩していた。