作り者

が、結構可愛い子が誕生する。
 でもそれは決して、自惚れではなかった。
私のこの目は、誰にも気づかれることなく日々を過ごし、そして可愛い、と男子にも女子にも言われるようになっていた。
 そして、その時に言われること、
「キレイな目してるよね。」
 これが私の耳に何度となく入ってきたのだった。
それから私は益々面白くなり、嬉しくなり、その他のことにかけても自身を磨くようになっていった。顔が変ると似合う服もヘアースタイルも違ってくる。
 といっても前よりも、なんでも似合うようになったような気がするのだけれども。

 何でも似合うと思うから楽しくなって、色々挑戦したり考えたり研究するようになる。
二重を手に入れた私は、どんどん上向きになっていった。

 高校時代同じ高校で、告白された数。10名。そのうち付き合った数。3名。
 他校の人から告白された数、5名。そのうち付き合った数1名。

 皆、同じことを言った。可愛いと。黒目がちで可愛いね。と。

中学校時代には想像もつかなかった三年間だった。365日の三倍。私はずっと造られたラインで過ごし続けたのだった。

 (ねぇ、あんたは誰?あんたは誰なの?)
私の大好きな可愛いものたちが並べられているお店の鏡に写る自分は、大嫌いだった。所詮は偽りの姿。お風呂に入って顔を洗ってしまえば線は取れるんだから。それが本当の姿なんだから。
 心の中は曇っていた。所詮は偽り・・・・。
本物ではない。さっきの声をかけてきた男も、偽りの姿に声をかけてきている。本当の私にはきっと声もかけはしない。