作り者

「開けてみなよ。」とまぁ。
ゆっくりとよーこが下から目だけを上に向けた。そして、ゆっくりと顔も一緒にあげた。ドキドキして、その結果を待っていた。
「あ・・・・。」一番最初に気づいたのは、やはり本人。
「だめじゃーん!!!なんだよー!!」
「あーホントだね。よーこは厚いからかなぁ・・。」説明書を読んでいた千代美は冷静に
よーこの顔を見ながら言った。残る一重組みの二人の顔には、明らかに落胆の表情がうかがえる。私は、自身の表情までは見ることは出来ないが、期待と希望が音を立てて崩れていくのがよく分かったので、私の顔もきっとひどいものだと思われる。
「あーぁ、折角買ったのに・・・。じゃ、次みぃやってみる?」隣に座っているみぃへと希望は託された。
「じゃー同じ要領で・・。」
 と、みぃもゆっくりと下から目だけを上に向け、ゆっくり顔を上げるが、
「あー・・・。」
 よーこ同様、これまた失敗。明らかにくっつけていますといった感じで引きつっていておかしい。そして、まぁも同じ様に失敗。彼女の場合は奥二重だったからか、線が二個出来てしまって、変だった。
「最後は雛かぁ。雛は希望の星だね。」
これまで三人が三人とも失敗に終わっていたために、私も、もううまくいく自信も、希望も何もなかった。所詮、1000円もしないもので、千代美みたいになろうっていう方が無理なのだ。そんなこと分かりきったこと。それでも、ちょっと、いやだいぶ期待してしまっていただけに、なんとも・・・。そうは思いながらもとりあえず挑戦。
「ゆっくり下から目だけを上に向けて・・。」
「あ。」
「あー。」
「おー。」
「あははー。出来たじゃーん!初成功だ。」
え、マジっすか?そう思いながら鏡をそっと見た。すると、そこにはキレイに二重のラインのついた私がいた。
「あー!!本当だ!!出来てる!!すごーい!!!」