しばらくして、家の中に戻ると郁おねえちゃんはごそごそと荷物を片付けていた。

「おねえちゃん、もう行くの??」


私の声に郁おねえちゃんはぱっと振り返り、にっこり笑った。

「明日学校があるからね。まじなってくれてありがと!!」


郁おねえちゃんの声に朔がひょこっと顔を出す。

「なに、郁姉帰るんか。はや」

「さみしんでしょ、朔ー」

「んな訳ないだろ、ばか姉っ」

にこにこと絡もうとする郁おねえちゃんの腕をするりとすり抜け、朔は逃げていった。


入れ代わりに顔を出したのはお母さんだ。


「夕飯くらい食べていけばいいじゃない」

エプロンで手を拭きながら無表情で言うお母さんに、郁おねえちゃんは首をかしげて答えた。

「そうしたいんだけど、もうすぐ雨降るっぽいんだよねー。洗濯物干しっぱなしなの」

おねえちゃんの言葉に、なら仕方ないわね、とお母さんはうなずいた。



おねえちゃんの天気予報は百パーセント当たる。


なぜかって??



それは、郁おねえちゃんが天気をまじなう力の持ち主だからだ。