「どしたの向??」
あ、やば。
郁お姉ちゃんに変人を見る目付きで見られたらおしまいだ。
私はにっこり笑った。
「なんでもない。外でまじなってくるね」
言って玄関の戸を開けると、郁お姉ちゃんはそれ以上は追及してこなかった。
ふう。よし。
慎重に郁お姉ちゃんと相手の人の髪の毛を結ぶ。
準備オッケー。
「…郁お姉ちゃんとこの人がうまくいきますように」
気休めにしかならないけど、まじないが少しでも強くなることを願って口にだし、私は髪の毛に息をふっと吹き掛け手を離した。
ひらひらひら、と結ばれた二本の髪の毛は宙をただよい、どこかに消える。
私は髪の毛が消えたあともしばらくその場でぼーっとしていた。
この縁で何かが変わる、そんな予感がしたのだ。
何かは、わからないけれど。