「ちょっと、ちょっと!!待ってよ向」
慌てたように制服の裾をつかんでくる郁お姉ちゃんをいぶかしげに振り返る。
すると、お姉ちゃんはひょいっと二本の髪の毛を取り出した。
「占ってくれる約束。でしょ??」
ああ、そういえば。
昼間の出来事が衝撃的すぎてすっかり忘れてた。
ま、今日は仕事なかったしちょうどいいか。
「へい」
私が手を出すと、嬉しそうに顔をほころばせ、私の手に二本の髪の毛をのせる。
「いつもありがとね、向」
……きゅーん。
お姉ちゃんは気付いてないけど、郁お姉ちゃんの笑顔ってすごく悩殺的。
まじないなんかしなくてもこの笑顔みせればどんな男でもいちころなのになっていつも思う。
あ、でも仁科悠芽はどうかな…
………って!!!!
なんで悠芽のことなんか考えてんの、私!!
私は頭をぶるんぶるんと振って悠芽を頭から追いやった。

