「 帰る。ばいばい。」
それだけ早口で言い捨てて
私は降り止まない雨に構うこと無く走り出した。
「 ちょっ!?待てやっ!!」
そんな私を、
そう言って奴は追いかけて来た…
手首を掴まれて、
あっさり捕まってしまった私、
この大雨のなか、
傘も差さずに、なにをやっているのだろう…
こんな 安い映画のワンシーンみたいなやり取りに、
行き交う人々は、私たちを好奇の目で見ていた…。
「 離せ馬鹿!!」
「 馬鹿はどっちやねん!?
こんなにアピールしとんのに無視すんなや!!」
怒鳴る私に、
奴が怒鳴り返した。
なによ、アピールって…!?
「 …こんなに、好きや好きやアピールしとんのに、
なんで、俺に応えてくれへんの?
好きでもないんなら、遊びに誘われてもホイホイ付いてくんなや。
俺がアホみたいに期待するだけやろ…、」
この男は、
なにを言っているのだろう……
好き って……
………私を?

