三人は暗い廊下を歩いている。

「実はあるんだよ…この学校にも。トイレの花子さんとか恐怖の十三階段とか、要するにあの手の怪談が。ま、うちの学校では最近になってから噂されだしたんだけどね、要するに、この学校のあちこちで怪奇現象が目撃されてるんだ」

「怪奇現象……」

と呟くハルカ、よくみると顔色が悪い。

「そう……それで、その怪奇現象の数が七つあってね。それで七不思議というんだ。その中に一つ職員室の話もあって――」

とシゲルがそこまで話した時だった。すっとサトシの手が伸びてシゲルの口を塞いだ。シゲルはそれを素早く振り払う。

「何すんだよ!いきなり」

「もういいよ!そんな話ききたくねーし」

サトシはそう返すが目が上下左右に泳いでいる。

「ききたくない?」

シゲルは目を細めたあと、ははーんとすぐに合点がいった。

「サ〜トシ君〜もしかして……」

シゲルはそこで間をとる。

「怖いのかな?」

「なにがだよ?」

「だから七不思議の話」

「なにいってんだよ、北斗七星なんか怖がるかよ。あんなもん星じゃねーかよ」

「いやいや北斗七星じゃなくて」

シゲルはにやにやしながら続ける。

「七不思議だよ。サトシ君、怖いからききたくないんだろ?」