深夜、誰もいないはずの職員室から、誰かのむせび泣きの声がする……。おそらくそれは十年前、同僚のイジメを苦にして自殺した教師が、うらめしい、うらめしい、と泣いているのだ……。怪奇、職員室からのむせび泣き……。

「―ていう話なんだ」

「へっ、むせび泣きだと?大体、それ誰か聞いたことあるのかよ?」

「いや、それは……」

途端にシゲルは口ごもった。この話に体験者は誰も見たことがない。

「いないってことは、むせび泣きも嘘ね」

断定するようにハルカは言った。

「でもひょっとしたらそれに近い現象は―」

と言いかけるシゲルを遮って、

「ないない。嘘、大げさ、まぎらわしいんだよ。そんな怪奇現象なんてない!」

サトシは強引に話を打ち切ってしまう。

その時だった。