「もしもし、龍?鈴です。今日、突然だけど…
海行かない?…大丈夫だよ。じゃぁ、3時に公園で」

龍には隠したつもりだったけど、龍には隠せない。
デートの最後には言わなきゃ。もう3日ぐらいしか生きられないこと。


「龍、突然ごめんね」
「俺も、海行きたかったし」
「…」

会話が続かない。
残り少ない私の命。だったら龍と楽しくすごしたい。
そう思ったけどなんとなく明るくなれない。
龍、ごめんね。


私たちは海で遊んだ。冬の海は寒かったけど、楽しかった。
最後に私は龍に手紙を渡した。
「後で読んでね」と一言だけそえた。
龍は私に小さな箱をくれた。私はすぐに箱をあけた。
中身は指輪だった。
「今日何か変だったから、俺と鈴は別れなきゃいけないのかなって思って
最後にこれだけは渡したかったんだ」
私の目からは、涙があふれていた。