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声が聞こえた。



クラスの女子達…またあの子達。


「緒方さんってさぁ、何なの?今時あんなガリ勉キャラ?メガネで長い髪ビシっと編み込んでさぁ。」

「しっかも、影うっすいよねぇ。地味だしさ。」

「てか、あーゆう人って『私、参考書が恋人なの』って感じしない??」

「あー、わかる!絶対ああいうタイプは告られないよね。」

「「だよねー!!かわいそ(笑)」」


小声で話してるつもりなのか、それともわざとなのか…。全部まる聞こえだ。
そんな彼女達の会話を聞いていると、自分の地味さが沁みて自分が情けなくなる。
今に始まったことではないけれど、顔が赤くなっていく自分がいた。
あっけらかんに下を向き、机の上に広げたノートの上に顔を伏せる。

確かに、私は目立たない。

休み時間だというのに、窓際の一番後ろの席でいい子に座って勉強しているのは私くらいだ。休み時間に誰かに誘われたこともないし、話しかけられたことだって多くはない。

私だって、恋がしたいよ…。私だって、告白されてみたい…。

変わりたい…でも、そんなの無理じゃない。
人はすぐになんて変われない。変わりすぎていじめられても嫌だ。
やっぱり、無理だよ…。
そんなことを思っていたら、窓の外から不意に覗いた顔とバッチリ目が合った。

「っ!!きゃ…」

叫ぼうと思ったが、即座に口を押さえられた。

「…ふぅ~、あぶないあぶない。悲鳴なんてあげられたら俺が危害加えたみたいじゃんかぁ…はぁ、良かった」