それよりも、
その時の私は思わずフリーズしていた。
”物語通り”の、”理想的”な、ずっと夢見ていた、男の子からの告白、キス。
入学した時からずっと想いを寄せてきた安藤勇士くんからの、優しさと真情のこもったキス。
これは…
本当に夢ではないのだろうか?
こんなブスでさえない私でも…
愛してくれるの…?
口ベタで赤面症で人付き合いが苦手な私でも…
心から、想ってくれるの…?
信じて、いいの…?
私は戸惑いながらも、うつむく彼に問いかけた。
「本当に私で…い、いいの?」
少し疑った表情で、眉をしかめて言ってみる。
すると彼は、私の方に顔を向けながら、信じられない事を言った。
「緒方さんでいいんじゃない…
緒方さんがいいんだ。」
まさか…
本当に”私”が必要とされているなんて。
彼がこんなにも”私”という存在を受け入れてくれている。
私…いつまで疑っているつもりなのだろう。
もう、いいでしょう。
私も、彼の気持ちを受け止めてあげなくちゃ。
せっかく私の想いも伝わった。
同じ気持ちでいる事がわかった。
私の答えは…ただ一つだ。

