「悠斗っ!!」

背後から聞こえてきた俺を呼ぶ声。
それは俺が望んでいた声ではなかったし、あいつはあんなに大声で叫んだりしない。
それに聞こえて来たのは間違いようもなく女の声で…しかも俺はこの声をよく知っている。
そうは思うもこんなところに彼女がいるわけないだろと、半ば無理矢理自分を納得させてみる。


今、俺は毎度のことながら、大学の食堂にいる。
昼食の時間ではないが、俺は時間があれば食堂に通うのが癖になっていた。

現在、昼の3時をまわっていて、今日の授業を全て終わらせた俺は、恋人である聖治を待っているところだ。

そう。名前でもわかってもらえると思うが、俺の恋人は正真正銘の男。
そして俺も間違いなく男なわけだけど、俺達は恋人という関係にある。

もともとは、ノーマルだった俺。
しかし伊坂聖治に気に入られた俺は、毎日のように付き纏われ…結果、いつのまにか俺もはまっていたというわけで…