美術室の窓から~dear先生~



「うん~。でも千葉君相変わらずだよね~!」


「どういう意味だよ。お前こそ変わんねーだろ。」


俺の作品の感想を「相変わらず」と表現する2人。


別に誉めてもらおうとは思ってないが、進歩していないと言われているようで少し腹が立つ。


「そういえば知ってる?萌が結婚するの。」


は? 萌が結婚?


意外な名前と単語に一瞬絶句した。


萌は…俺の元カノ。


仲間の雰囲気を壊したくないから…と、みんなには秘密で付き合っていた。


今年の1月に、東京のデザイン事務所への就職が決まっていた萌から、俺に別れて欲しいと切り出された。


遠距離恋愛をする自信はないからと。


「…へぇ?知らない。誰と?」


平然を装って返せたと思う。


「グラフィックデザイン科だった2つ上の先輩だって。3年前から付き合ってたらしーよ。水臭いよね、私たちに教えてくんないなんて。」


「へぇ…」


俺は2年前から付き合ってたけど?


なんだ。


俺は寂しさを紛らわすためだけの道具だったのか。