今年初めて参加する薫風展。


一番若輩者の俺は、会場設営から作品搬入と目まぐるしく動き回った。


陸上部の方も毎日あって、生徒に熱中症を注意しながらも、自分が熱中症になってしまうんじゃないかと思うほどだった。


植村先生からは「あんまり頑張りすぎるのは良くないよ。社会人人生は長いんだから。」と言われたけど、社会人1年生の俺にとって、まだペース配分は分からない。


とにかく無事1学期を終えた安堵感と、俺の担当する長距離から3名の県大会進出が決まった充実感に、精神的な疲労は救われた。




「千葉君!」


「あ、金山に篠田。」


今日が当番日だと知らせたサークル仲間連中のうちの2人。


そう言えば宮崎も来てくれるんだろうか。


「さすが本格的ね~。プロも加わって年齢層も広いし。」


「良い刺激になるだろ?」


市内で保育士と小学校教員になった2人は、音楽学部なので美術にはあまり詳しくないが、芸大なので目は肥えているほう。