美術室の窓から~dear先生~



地下鉄の駅を降りて地上に上ると熱気がムンと立ち込めていた。


「暑いね。。。」


「うん。早く建物の中入ろ!」


大きな交差点を渡って、アートホール港のあるビルに入る。


入り口には『第11回 薫風展』と案内板が出ていた。


「着いちゃった…。」


つい出た一言。


「はぁ~涼しい!」


梨絵は手で顔を扇ぎ、冷気を満喫している。


確かに涼しいんだけど、緊張してきて別の意味の汗が出る。


ドキドキ…


このエントランスの…あの階段の上に、先生がいるんだ、と思うと気持ちが逸るような、緊張して行けないような。


「宮!何してんの。行くよ!」


「あ、うん。」


梨絵は臆することなく歩く。


…え~い!行くぞ!