「あはは…そんな心配要らないと思いますよ。でも、何かありましたら相談させて頂きます。」
植村先生は右手を振りながら出て行った。
『そんな心配』・・・か。
まさか俺は、『女子生徒が群がるモテる先生』ではない。
まぁ、男子が群がり勝ちなんだけど。
好かれる先生になりたいけど。
生徒に手を出す教師にはなりたくない。
別にガチガチ真面目に生きてきた訳じゃないけど、これが俺の教師になる時に誓ったポリシーの一つ。
だけど、俺の方が先に見つけてしまったんだ。
まさか教え子になるなんて。
初めは『あの絵を描いた子に会えて嬉しい』だけだった。
『あの絵』は俺にとっても特別だった。
正確には『あの絵の場所』