それから、先生が気になるようになっちゃった私。



全校集会や学年集会の時も、


職員室の前を通るだけでも、


ついつい先生を探してしまう。


千葉先生はいつも、男女問わず生徒に囲まれていて…


私は離れた所から見ているだけ。


どうも…あの輪の中に入る気にはなれなかった。






4月も後半になって、私は美術部に入部した。


梨絵も一緒で、少し安心。


顧問はもう一人の美術の先生。


女子ばっかり20人弱の美術部。


部室は南校舎4階の第一美術室。




窓からはグランドが見渡せて、隣接する東小学校や、そのはるか先に海が見えた。




「あ~!千葉ちゃ~ん!ホラ宮、千葉ちゃん走ってるよ!」


梨絵が無邪気に窓から手を振りながら言った。


そう。既に人気者の千葉先生は『千葉ちゃん』と呼ばれている。


これも…私は同じ様に呼ぶ気にはなれない。


なんでだろ…?


「ホントだ~」


私は内心「え、ウソウソ!どれどれ?」なんだけど、無関心ぽく言って下を見た。


いつものスーツ姿とは違って、白いTシャツに赤いジャージの先生が走ってる。


「はやっ」


長い手足がキレイなフォームで…


他の部活の子達も見てるよ。


「ねぇ 宮~。」


「ん?」


「千葉ちゃんのこと、好きなんでしょ?」


「っ…えっ!?」