※
『聞かせてあげるよ。』
声が脳に直接届いた。
子供っぽい声でも大人っぽい声でも無い曖昧な年齢層を感じさせる女の子の声だ。
この声の主は誰なのか先程からずっと気になっていた。
それと同時に心臓の鼓動が激しく、目眩を起こしたかの如く無数の星が飛び回り、体育館全体が、色を失ったかの様に白に染まっていく…。
(なんだよこれ!?…こんな時に貧血とか止めてくれよ。)
いきなり現れた妙な症状に心中で怒鳴る。
落ち着かせようとしているのに一向にやむ気配がないのが妙にイライラする。
辺りが真っ白に染まり何もかもが見えなくなり始めたその時だった。
俺は真っ白な世界に一人立ち上がる女の子の姿を偶然見た。いや見ざるを得なかった。
何もないと思われたその世界に突如として現れた見知らぬ女の子。
彼女もこちらを見ている気がした。
「お前は…誰なんだ?」
素直に思った事を口にした。
そんな言葉を気にもしていないのか女の子はトランペットを吹き始めた。
今の場所には不似合いな軽いノリのあるテンポを刻んでいたが、その演奏はプロにも並んで良いと思える程上手かった。
こんな演奏を高校生が吹けるものなのかと思えるくらいだ。
『聞かせてあげるよ。』
声が脳に直接届いた。
子供っぽい声でも大人っぽい声でも無い曖昧な年齢層を感じさせる女の子の声だ。
この声の主は誰なのか先程からずっと気になっていた。
それと同時に心臓の鼓動が激しく、目眩を起こしたかの如く無数の星が飛び回り、体育館全体が、色を失ったかの様に白に染まっていく…。
(なんだよこれ!?…こんな時に貧血とか止めてくれよ。)
いきなり現れた妙な症状に心中で怒鳴る。
落ち着かせようとしているのに一向にやむ気配がないのが妙にイライラする。
辺りが真っ白に染まり何もかもが見えなくなり始めたその時だった。
俺は真っ白な世界に一人立ち上がる女の子の姿を偶然見た。いや見ざるを得なかった。
何もないと思われたその世界に突如として現れた見知らぬ女の子。
彼女もこちらを見ている気がした。
「お前は…誰なんだ?」
素直に思った事を口にした。
そんな言葉を気にもしていないのか女の子はトランペットを吹き始めた。
今の場所には不似合いな軽いノリのあるテンポを刻んでいたが、その演奏はプロにも並んで良いと思える程上手かった。
こんな演奏を高校生が吹けるものなのかと思えるくらいだ。


![Cold Phantom [後編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.781/img/book/genre4.png)
