Cold Phantom [前編]


今年の一年生は7クラス存在し、そのうちの4組はそれらの中心に位置する。
それは誰だって解ることだが…。
「ど真ん中だな俺達。」
まさか発表会を見学出来る場所も座席的には中央に位置する場所が確保出来るとは思わなかった。
ジャズやスカのコンサート等で、真ん中の席を取れるのはとても良い事だ。
遠すぎると響きすぎて聴きにくい事があり、近すぎると逆に響きが目立たず味気ない物になったりと、音楽を普段から意識して聴いていると席の場所とりは大事な物になる。その中でも真ん中と言うのは、右耳左耳に届く音楽のバランスがとても良い場所で聴く側には丁度良いポジションになる。
吹奏楽を聴きに来た自分にとって、これ程いいポジションは無い。
「そんなものなのか?俺には良く分からないけど。」
隣にいる里村はそんな俺の解説を興味無さげに聞いていた。
それはさておき…
発表会は体育館で行われるが、以前からこの体育館に関して常々「広い」と感じていた。
バスケットのゴールが全部で8つ、勿論バスケ用のフィールドは4つもある。
中学時代には二つしか無かったから単純計算で約2倍もの広さがあった。