※※
ソロ…
私のパートでソロなら俗に言うトランペットソロ…
何とも嫌な響きだ。
確かにソロは吹奏楽でもとびきり目立つし、ましてや花形のトランペット。
目立たない訳がない。
でも、私にはちょっと荷が重い。
そんな目立つ役柄は引っ込み思案な私には似合わない。
「でも、あるんでしょトランペットソロ。」
そう、今回発表する曲にはトランペットソロがある。
私の隣にいた紗冬美は私の考えている事を言い当ててしまった。
「なっ!?…」
「解るわよ。去年の文化祭の時も同じ曲の同じ所で不安がってたし。それに不安になってる時はいつもやってるでしょ、それ…」
と言いながら私の鳩尾辺りを指差す。
その意図を知るや否やその指の差された場所を見るまでもなく私は赤面した。
右手でブレザーのボタンを外し、はずし終わると同じ右手で外したボタンを弄ってしまう癖があった。
紗冬美に指摘されて直ぐに慌ててボタンを止め直した。
「その癖治さないと、また去年の夏の二の舞になるわよ。」
「うぅ、気を付けます。」
私は恥ずかしながら紗冬美にそう言った。
「祥子のソロが終わったら私がソロで続くんだから、頑張って貰わないとね。不安なのは解るけど頑張って。」
ソロ…
私のパートでソロなら俗に言うトランペットソロ…
何とも嫌な響きだ。
確かにソロは吹奏楽でもとびきり目立つし、ましてや花形のトランペット。
目立たない訳がない。
でも、私にはちょっと荷が重い。
そんな目立つ役柄は引っ込み思案な私には似合わない。
「でも、あるんでしょトランペットソロ。」
そう、今回発表する曲にはトランペットソロがある。
私の隣にいた紗冬美は私の考えている事を言い当ててしまった。
「なっ!?…」
「解るわよ。去年の文化祭の時も同じ曲の同じ所で不安がってたし。それに不安になってる時はいつもやってるでしょ、それ…」
と言いながら私の鳩尾辺りを指差す。
その意図を知るや否やその指の差された場所を見るまでもなく私は赤面した。
右手でブレザーのボタンを外し、はずし終わると同じ右手で外したボタンを弄ってしまう癖があった。
紗冬美に指摘されて直ぐに慌ててボタンを止め直した。
「その癖治さないと、また去年の夏の二の舞になるわよ。」
「うぅ、気を付けます。」
私は恥ずかしながら紗冬美にそう言った。
「祥子のソロが終わったら私がソロで続くんだから、頑張って貰わないとね。不安なのは解るけど頑張って。」


![Cold Phantom [後編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.778/img/book/genre4.png)
