Cold Phantom [前編]

「早く終わったね、みーちゃん。」
「まぁ、想像通りの展開だったけどね。」
「みーちゃんがあの時喧嘩しなかったらもっと早かったかもね。」
「うぅ…あ、あれも踏まえて想像通りなのよ!」
「そう言う事にしておくよ。」
私はそう言って小さな笑みを浮かべた。
一年のいつの頃だっただろうか、みーちゃんはよく有文君に突っかかるようになった。
詳しい事は知らないけど、どうやらみーちゃんが元々の全ての原因を作ったみたいで、しかも素直になれない性格が邪魔しているのか、有文君相手に謝った所を見た事が殆ど無かった。
そんなみーちゃんの反応が知れ渡るのもあっという間で、今やクラブ以外でも2、3年生の殆どの人が知っていて、そこから夫婦喧嘩と呼ばれる様になったのもすぐだった。
みーちゃんは何故か夫婦喧嘩と言われてもすぐには否定しないあたり、憶測では本当に脈があると言って疑わない人も多い。
廃れた俗語で言うならばツンデレと言うのだろうか、そんな感じだ。
「みーちゃんももう少し素直にならないとね。」
「……何だか祥子も和樹に似てきた気がする。」
「気姿月君に?うん、そうかもね。言われてみたらそうかも知れないね。」
「そこで認めちゃ駄目でしょ。」