Cold Phantom [前編]

勿体無いと言う人も当然いるのだが、彼曰く
「俺は性格も生き方もワイルド趣向を地で行く大人になる予定だ。」と言い訳にしか聞こえない様な主張を数ヶ月前に言っていた。
本気なのか冗談なのかは未だに定かではないが…
「めんご～、実は今日から入った新入生君の涙ぐましいアプローチを聞かされて気づいたら遅くなっちゃったみたいな～。ってのは…」
「駄目に決まってんだろ。そんな蟻が像を持ち上げて投げ飛ばす様なデマ話、通用するわけないだろ。」
「…相変わらず意味不明な例えね、ふ～みん。」
私もみーちゃんと同じ感想を持った。
有文君は人とはちょっと違う考え方の持ち主で変わった事や人がやらない事を好んでやるそんな習性がある。
いわゆる変わり者。
美形な顔つきなのに本当に勿体無い性格していると思う。
まぁ、ワイルド趣向を貫こうとしている時点で変わり者なので、彼らしいと言えば彼らしい。
「それで、今日３年全員集めた理由はなんなの？」
不意にまた一人声を出した。私たちが来る前から集まっていたうちの一人。怒った口調ではないが早く済ませたい気でいっぱいの様だ。
その子の名前は渡良瀬紗冬美（わたらせさとみ）