と、みーちゃんは言う。実際その通りで、音楽室にあるような五線譜の黒板も無ければ音楽家の額縁も無い。
本当に普通の教室だった。
多少違うと言えば、机の数の少なさだろう。
打楽器のスティックを置いたり、楽譜を広げたりする意味合いで申し訳程度に置かれているくらいだった。他はカバン入れを楽器入れとして扱っているくらいか…
でもそれらもよく見ないと分からないくらいだった。
「あ、そう言えば私たちここに来る用事が無かったから部室内は入れないよ?」
みーちゃんが思い出した様にたけ君にそう言うと…
「別に構わないっすよ。元々入る所まで想定はしてないっすから。」
困り顔一つせずにたけ君はそう返してきた。
一人で探しに来たくらいだから彼の言うことは気遣いでは無いのがわかる。
「っと言うか、特別棟に何しに来ていたんっすか?」
たけ君がそう私たちに言った時、私はふと自分が行くべき場所を思い出し、「あっ…」っと声をあげた。
「みーちゃん、早く行かなくちゃ。集合時間まで5分切っちゃってるよ。」
「おろ、本当だ。まぁ良いんじゃない?新部長の呼び出しくらい知れてるわよ。」
…ちょっと無茶苦茶な事言うみーちゃん。