Cold Phantom [前編]

「出会ってまだそんなに経ってない無いけど、私でも不思議に思うくらい心を許せる相手だった。それにいつも明るく優しくて、そんなヒロ君にいつの間にか憧れて、いつの間にかヒロ君の事を考えるようになって…。ヒロ君に告白された時思い知った。もう、私の中でヒロ君は大きい存在になってしまったんだって。」
「それで、断っちゃったんだ。」
「…」
俺はそう返事をすると、姫ちゃんは言葉を詰まらせた。
「おしとやかな姫ちゃんが一人の男をそこまで想い続け、更にその相手から告白を受けた。なのに断ってしまうんだからよっぽどの事が姫ちゃんにはあったんだなってのはよくわかった。だけどな…」俺はそこまで言って姫ちゃんをまっすぐ見た。
「姫ちゃんはいつまで自分を偽って幸せから逃げていくつもり?」
「幸せから逃げる?」
「俺から言わせりゃ、そうとしか思えなくてさ。」
そう言って俺は冗談混じりに小さく笑ってみせた。