「記憶喪失の人ってね、普段人の持たないような不安を持ってる物だったりするの、勿論私もね。」
「…」
俺は黙って先輩の話を聞いていた。
先輩の言いたい事は良く解る。
いや、俺だから解るのかも知れない。
同じ記憶喪失だから…
「記憶喪失のまま喪失以前に出会った事があった人と会うのが不安だったり、そもそもの失った記憶が何なのかがとても怖かったり、人それぞれ違うんだよ。」
「…」
俺は変わらず先輩の話を聞いていた。
「私の場合はね、私の記憶の事で人に迷惑をかけてしまわないか…それがとても怖いの。」
「えっ?」
俺はようやく声をあげた。
嫌な…そう、とても嫌な予感がした。
「今日のみーちゃん、何だかいつもと違うなって思ってた。こう言う時はいつも私とみーちゃん、後は紗冬美の3人で遊びに来たかも知れない。でも、呼んで来たのは湯川君とヒロ君だった。」
先輩は下り始めた観覧車からの景色を見ようともせずにまっすぐに俺を見ていた。
「…」
俺は黙って先輩の話を聞いていた。
先輩の言いたい事は良く解る。
いや、俺だから解るのかも知れない。
同じ記憶喪失だから…
「記憶喪失のまま喪失以前に出会った事があった人と会うのが不安だったり、そもそもの失った記憶が何なのかがとても怖かったり、人それぞれ違うんだよ。」
「…」
俺は変わらず先輩の話を聞いていた。
「私の場合はね、私の記憶の事で人に迷惑をかけてしまわないか…それがとても怖いの。」
「えっ?」
俺はようやく声をあげた。
嫌な…そう、とても嫌な予感がした。
「今日のみーちゃん、何だかいつもと違うなって思ってた。こう言う時はいつも私とみーちゃん、後は紗冬美の3人で遊びに来たかも知れない。でも、呼んで来たのは湯川君とヒロ君だった。」
先輩は下り始めた観覧車からの景色を見ようともせずにまっすぐに俺を見ていた。


![Cold Phantom [後編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.781/img/book/genre4.png)
