Cold Phantom [前編]

「自分の気持ちに気づかないふりをしてた…そう言う事ッス。」
そう言ってみーちゃん先輩を見た。
その返答にみーちゃん先輩は淡々と返事をした。
「ま、そう言うとこもヒロらしいかもね。鈍感と言うかなんと言うか…。」
「うっ…。」
反論はしなかった。
いや、出来なかった。
正にその通りだと思ったからだ。
「でも、そう言うとこも含めて祥子の恋人に向いてる気がしたんだ。」
「え?」
みーちゃん先輩は食べ終えたビッグバーガーが入っていた箱を閉じ、肘を着きながら溜め息をついた。
「ヒロも大概だけど、祥子はそれ以上に鈍感なんだ。ヒロはキッチンスタッフだから知らないと思うけど、祥子はあれでも店側で人気があるんだ、常連まで付くくらいにね。私とか里村君もずっと前から気付いてたんだけどね。」
「もしかして、祥子先輩はそれに気づいて…。」
「無いよ、勿論。」
みーちゃん先輩はまた溜め息をついてそう言った。
「似た者同士って事ッスか…。」