Cold Phantom [前編]

「そんな事より、美咲先輩。」
「ん?」
「いつから気づいてたッスか。その…」
そこまで言って俺は言葉に出来なかった。
対する先輩は非常にストレートに…
「ヒロが祥子を好きだって事に?」
と聞いてくる。
あまりにストレート過ぎて、俺は「はい…」としか答えられなかった。
しかし、先輩はその返答に笑顔を見せた。
「ヒロって、素直だよね。」
「え?」
先輩は烏龍茶をストローですすり僅かな間を開けて言った。
「素直じゃなかったらそんな質問してこないし、好きでしょと言われて「はい。」なんて返さないしさ。」
「…。」
言われて俺は押し黙ってしまった。
「私が気付いたのはヒロがアルバイトを始めてからかなぁ…。和樹なんかヒロが入部して数日で気付いたみたいだけど…。」
「あはは、さすが気姿月先輩。ばればれッスね。」
言いながら、目前のオレンジジュースを少し飲んだ。
「今、先輩は俺の事を素直って言ったッスけど、最近までそうじゃなかったッス。」
「どう言う意味?」