Cold Phantom [前編]

流石プロレス技を完璧に決められる先輩と言うべきか…
乱暴な雰囲気は手紙にも出るのだろうかと、言葉にはしなかったがそう思った。
「とりあえず、ここじゃなんだからどこか店に入ろうよ。私から誘ったんだし私が奢るよ。」
そう言ってみーちゃん先輩はすぐ近くにあったファーストフード店を指差した。

店内は、時間帯の都合をお構い無しに閑散としていた。
バイト先なら間違いなく人が入り始める時間帯だけに何だか変な気分だった。
「ヒロってそんなに小食だったっけ?」
「あぁいやそう言う訳じゃないッス。」
言いながら安いハンバーガーとオレンジジュースを目の前にしていた。
なんと言うか、女の子に奢られると言うのが何となくやるせなくてあまり多くは頼まなかった。
とは言えまだバイト代が入らない身空、仕方ないと言えば仕方ないが…
「気にしなくても良いのに、まぁヒロらしいけどね。」
先輩は向かい合う形でビッグバーガーを頬張っていた。