Cold Phantom [前編]

部活が終わり、放課後の喧騒が学校を包む。
「あぁ、俺もバイトしたいなぁ。」
部活後のミーティングも終わった頃。
そんな事を言いながらたけが話しかけてきた。
「すれば良いだけだろ。家に見つからないようなバイトを…」
「そんなバイトがあるなら教えてくれ。」
と泣きつく様な勢いで俺に言ってくる。
実際に泣いている訳じゃないが…
たけはたけで悩みはあるようだ。
働きたいなんて中々言える物でもないし、余程稼ぎたい何かがあるようだ。
そんな事はともかく、俺は部活中気になっていた事がある。
無論、みーちゃん先輩の事だ。
早めに声を掛けようとしたが、そうするまでも無くみーちゃん先輩から来てくれた。
「美咲先輩！」
「あぁヒロ、はいこれ。」
と、間髪入れずに何かを手渡された。
折り畳まれた紙のようだ。
「シフト表。ヒロの名前も入ってるから家に帰ってから絶対に見といてね。それじゃねぇ。」
「あ、はい…。」
と、先輩は台風の様に部室を後にした。