「えっ？」
「俺は多分、目標が無い事に甘えすぎてまだ見ない自分の可能性に目をつぶっていた気がする。だから俺は自分なりに目標を決めたんだ。」
「前の事、気にしてたのか。」
「そんなとこだよ。」
彼はそう言って近付いてくる車に手を降った。それは彼の家の車だった。親が迎えに来たようだ。
「お前達も頑張ってこいよ。教えてやった事を無下にすんなよ。」
里村はそう言って明るい笑顔で俺達に言った。今まで俺達が見たことも無いような里村の笑顔だったかもしれない。
里村の車が遠くなり姿が見えなくなるのを見た後、俺は腰に手をやり息を一つついた。
別れ際は少し呆気ないなと里村の姿が見えなくなると寂しく感じてしまう。
「猿、俺達も頑張らないとな。」
そんな静けさに割って入ったたけの言葉は少しだけ力強く感じた。