Cold Phantom [前編]

学校ではいつも話に混じる紗冬美だが、それ以外では話す機会が少ないからだろうか、会話内容も少し違っていた。
全部が全部では無いがいつもと違う会話に店の事が含まれていた。
「店に行く度にいつも感じてたんだけど…。」
「何?」
紗冬美がそう切り出してきて私は返事を返す。
「あの店に入店する人って、大半が美咲と祥子目的な人が多いよね。今も…えっと、あの新しい子…」
「里村君?」
「そう、その子。中々イケメンだから女の子受けが良いみたいだし。前に来たときより来店者も随分増えたきがするのよ。」
と紗冬美は言う。
店員目的なのは紗冬美に言われるまでもなく知ってはいたが、やはり他人が見ても解るものなんだなと思わされる。
「気づいてはいたけど、紗冬美ちゃんにそう言われると何だか複雑だな…。」
私はそう紗冬美に言ってちょっと沈む。
その反応が意外だったのか「どうして?」と返事がきた。
私は返事に答えた。
「だって、みーちゃんと里村君のツートップの中に私がいるんだなって思うと複雑な気持ちになっちゃうよ。」