「自分がこれで良いと思う領域に達して、それ以上に同じ事を繰り返す必要が無いと自分自身がそう判断した時。目標って言うのは達成されているんだよ。」
「なるほど、な…」
里村は少し関心した顔でこちらを見てきた。何か思う節があるのか走らせていた鉛筆の動きまで止まる。
「少なくとも俺は好きな事が目標だから目標達成なんて底が見えないぜ。」
「自分が好きな事…か。今まで考えた事が無かったな。勉強だって正直好きな訳じゃない'やらなきゃいけない事を流れ作業みたいに済ませてきた'みたいな物だったから、好きな事だから苦しい事も頑張ってこれた。って言う物じゃなく、苦しい事は素直に苦しいと自分の心中で認めてしまえる辛さがあった。そんな自分がごくたまに嫌いになるくらいにな。だから、苦しい事も苦しいと言わない猿達が羨ましいって思ってた。そんな人を俺は放っておけなかった。」
「そっか…」
低いトーンで俺は一言そう呟いた。
本当に頭が上がらない気持ちで一杯だった。
あの日、里村に会えた事を神様に感謝したい。俺はそう思った。
でも…それと同時に、初めて里村の心中を知った気がする。
もう、数ヶ月の長い付き合いなのに、だ。
「なるほど、な…」
里村は少し関心した顔でこちらを見てきた。何か思う節があるのか走らせていた鉛筆の動きまで止まる。
「少なくとも俺は好きな事が目標だから目標達成なんて底が見えないぜ。」
「自分が好きな事…か。今まで考えた事が無かったな。勉強だって正直好きな訳じゃない'やらなきゃいけない事を流れ作業みたいに済ませてきた'みたいな物だったから、好きな事だから苦しい事も頑張ってこれた。って言う物じゃなく、苦しい事は素直に苦しいと自分の心中で認めてしまえる辛さがあった。そんな自分がごくたまに嫌いになるくらいにな。だから、苦しい事も苦しいと言わない猿達が羨ましいって思ってた。そんな人を俺は放っておけなかった。」
「そっか…」
低いトーンで俺は一言そう呟いた。
本当に頭が上がらない気持ちで一杯だった。
あの日、里村に会えた事を神様に感謝したい。俺はそう思った。
でも…それと同時に、初めて里村の心中を知った気がする。
もう、数ヶ月の長い付き合いなのに、だ。


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