Cold Phantom [前編]

休憩室から店内に戻った時には既に先輩達は仕事に就いていた。
まだピーク時では無いようで客足もあまり無く、既にもうすぐ増えるであろうピーク時までの準備を整えていた。
初めに俺達に気がついたのは祥子先輩だった。
「あ、どうだった？」
「先輩の言う通りでした。」
「だよねぇ。」
そう言いながら微笑んだ。
あからさまに解りきっていたかの様な反応にさすがは長くバイトしているものだなと思わざるを得なかった。
更に経歴が長い美咲先輩に至っては…
「それじゃ、先ずはあいさつから…って、何でまだ制服のままなのよ。」
と、何故か不満を漏らす始末。
「何がなんでも気が早すぎるよみーちゃん。」
「うーん、マスターの事だから今日から早速だと思ったんだけど…流石にそこまでせっかちじゃないか。今日からちょっとは楽になると思ってたんだけどなぁ。」
そう言いながら腕を組み溜め息をついた。
「まぁ、美咲にはこれまでもよく頑張ってくれてたから今日からにしたかったんだけどね。」
そう言いながら店の奥からゆっくり現れた店長…