Cold Phantom [前編]

それを見計らったかの様に店の扉が開いた。
この店の規模に対して少々人数が多い団体だった。
「そろそろ本番かなぁ…猿川君と里村君だっけ？」
「はい。」
「また明日来てくれるかな？、履歴書と親の同意書持ってきて、明日学校が終わって直ぐに来てくれたら時間取れると思うから。」
「解りました。」
里村はそう言って飲み干した空のコーヒーカップをゆっくり置いた。
「今日は君達はお客さんだから、ゆっくりしていってね。」
そう言ってそそくさと奥に入っていく店長を見て先輩達もそれに続く様に自分の仕事に戻っていた。
「御代わり、いる？」
祥子先輩は里村の空になったコーヒーカップを見ながらそう聞いてきた。
その姿がついこの間のアパート内で見た先輩と少し重なって見えた。
相変わらず可愛い先輩だ。
そんな事を思いながら俺はしばらく店に入り浸っていた。