このままだと埒があかない。
俺はとりあえずストレートに話を切り出した。
「バイトしようかなと思ってな。」
「バイト?やけに突然だな。」
「一身上の都合ってやつだ。」
そう言って振り返る。
俺から歩幅一歩程離れた所に里村は立っていた。
「それなら今のうちに情報誌でも漁って探したら良いのに。」
「いやぁ、確かにそうなんだけどな、何て言うか、面接ってのがどうも苦手で…。」
「それで考え事か…。本当にお前にしては珍しいな。コンクールとかで人前に出るのは慣れてると思ったのに…」
そう言って里村は腕を組んで俺の隣を陣取る。
窓にもたれ掛かり楽な体制になった。
それを見て、また外をボーッと眺めた。
「コンクールと面接は別物だったよ。自己表現の仕方がまるで違う。コンクールの解放感と違って面接は狭い部屋で数人の目を一同に浴びるから圧迫されてるようでどうもな…。」
「この学校の面接で思い知らされたと…。」
「全く持ってその通りだ。」