Cold Phantom [前編]

アルバイト先は槍倉駅前の寂れた商店街にある小さな喫茶店。
レトロなイメージを強く醸し出し、今では貴重な木造の店で他の店と見比べても明らかに浮いた印象がありよく目立っていた。
店の店長がみーちゃんの親戚の様で、小さい頃から店を手伝っていたみーちゃんのこねで私も週4日のシフトで働いている。
高校1年生の入学日から働いているので今年で3年目になるが、いつも集客が緩やかで暇過ぎず忙しすぎない。と、仕事がしやすいバイトで私は気に入っている。
それに私のコーヒー好きもこの店でバイトを始めてからのもので、店長が古くなったコーヒーメーカーや商品として扱えないコーヒー豆等もわざわざ煎じて私にくれたりするので、それを踏まえた上で私はこの店が好きだった。
「祥子、カプチーノ2つね。」
「了解みーちゃん。」
そんな事があるからか店長は調理、みーちゃんはウェイトレス、私はドリンク(主にコーヒー)とレジ役になっていた。
たまにある忙しい時は私もウェイトレスに回る事もあるけれど、今日も変わらずいつもの仕事で終われそうだ。